特別支援学校での生活~学習内容~
こんにちは。ガイドヘルパーとして働いております、るりと申します。
ダウン症で重度知的障害を持つ弟がいる、姉でもあります。
前回の記事では、特別支援学校での生活を一日のスケジュールとともにお伝えしました。
そこで、本記事では特別支援学校での生活の中でも、学習内容についてご説明いたします。
*本記事では、障害を社会モデルで捉え、社会側にある障害に自覚的になり、改善するように働きかけたいという願いを込めて、あえて「障害」と表記します。
目次
学習内容の概要
特別支援学校に在籍している生徒たちには、多様なニーズが存在します。
そのニーズに個別に対応した授業が展開されるのが特徴です。
以下に、その特徴を3点紹介します。
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普通学校と同様、基本的な学力の向上を目指す授業や、子どもたちの成長に不可欠な協調性などを育む集団行動、行事
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言語、身体、聴覚、視覚、感情コントロールなど個別に必要とされる支援
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主に高等部での職業訓練
では、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
学力向上、集団行動、行事
近年では、特別支援学校でも一定の学力を求められるようになりました。
その結果、生徒の必要なレベルに応じた国語、数学などの授業が展開されています。
また、ホームルーム活動や体育大会などの行事を通して、社会性も育まれていきます。
集団の中での振る舞い方や、他者との折り合いの付け方などを学ぶことが目的の一つです。
個別支援
個別支援には生徒の様々な特性に応じて、異なるプログラムが提供されます。
以下にその一部をご紹介いたします。
- 言語療法:発語や言語に障害がある場合は、言語療法が行われます。口や舌の動かし方などを学ぶことで、明瞭な発語の技法を学びます。
- 身体的なリハビリ:身体に障害を持つ場合は、リハビリを行います。身体の動かし方を学ぶことで、日常生活での身体機能の向上を目指します。
- 聴覚支援:聴覚障害がある場合は、聴覚を補う方法を学びます。手話や口話(人工内耳や補聴器を用いた聴覚活用に加えて、読唇術や発声を含む)などを学ぶ場合があります。(ろう学校の場合は特に専門的に学ぶ)
- 視覚支援:視覚障害がある場合は、点字や盲導犬の訓練など、視覚的な支援を活用する術を学びます。
- 感情コントロール:感情的なサポートが必要な場合は、コミュニケーションスキルやストレス管理、感情認識の技術を学びます。
以上のような、ニーズごとの支援を組み合わせて時間割が決定されます。
職業訓練
特別支援学校卒業後の進路として、自立訓練や就労などがあります。
(卒業後の進路については、次回の記事でご紹介いたします。)
そのため、特に高等部では職業訓練が行われます。
私の弟は高等部二年から、地域の施設に体験に行っていました。
複数の施設で体験する中で、本人の希望とレベルが合った進路を考えていきます。
体験と同時に、学校の中でも進路に応じて必要とされるスキルの教育が実施されます。
その他
スケジュールや時計による時間把握の方法を学び、安心感に繋げる支援もあります。
また、他者とのコミュニケーションを測るため、文字盤・絵(最近ではデジタルでもあります)を使った意思表示の方法なども活用されています。
近年では、地域とのつながりづくりを意識した授業が企画される場合もあるようです。
この取り組みは生徒の自己有用感(自分が人の役に立つと感じること)を育むことで、自己肯定感(自分のことを認める力)も育てることができるというメリットがあります。
エコルドでは、子どもたちの発達に合わせた内容を提供しております。
お子様にどのようなアプローチができるかについては、ライターの「つばき」が記事にまとめておりますので、そちらもご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【参考文献】
- 堀家由妃代,2012,「特別支援教育の動向と教育改革〜その批判的検討〜」,佛教大学教育学部学会紀要(11),53-68
- 本多由香,武田篤,2019,「特別支援学校における地域資源を活用した授業の有効性に関する検討~教師と生徒へのインタビュー調査から~」,秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要(41),63-68
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