「癇癪との向き合い方」シリーズ 第3回:癇癪がなくなった理由 ― 子ども自身の成長とコミュニケーションの獲得
こんにちは。ガイドヘルパーとして働いております、るりと申します。
ダウン症で重度知的障害を持つ弟がいる、姉でもあります。
今回から4つの記事で、癇癪(かんしゃく)について、弊社の代表である野口にインタビューを行った様子を連載します。
第3回となる本記事では、癇癪を収めるためのキーワードである「コミュニケーションの獲得」と「お子さま自身の成長」に注目して話を進めていきます。
どれだけ頑張っても、子どもの癇癪が治らない…そんな保護者様にこそ、読んでいただきたい回です。
*ご紹介するケースは保護者様に許可をいただき掲載しております。
*本記事では、障害を社会モデルで捉え、社会側にある障害に自覚的になり、改善するように働きかけたいという願いを込めて、あえて「障害」と表記します。
目次
切り替えツールの獲得と、泣いても希望が通らない経験
るり:切り替えができるようになったのもやっぱ大事ですよね。
前回の記事でもあったんですけど、切り替えられるものをどれだけ増やせるかとか、タイミングをどれだけ持てるか。
それと、自分の思いを伝える手段をどれだけ持てるか、わからないものをどれだけ減らせるかっていうのが、重要なんだろうなっていうのは思いました。
野口:そうですね。
その子においては、見通しが分かんないとか、そういうことで崩れるっていうのはなくて。とにかく自分がこうしたいと思ったものが叶わなかった時に、最初はですね、もう全てが癇癪に繋がってたと思います。
特にだっこが。
るり:ね、だっこの話が多かったですよね。
野口:うん、だっこは強かったですね。
もうエコルドの中じゃ、だっこには絶対みんなで応じないようにしようって言ってたんですけど。
るり:それ、だっこをしないっていうのはどういう意図ですか?
野口:自分の希望が必ずしも叶うわけじゃないっていうことを学んでもらいたいんです。
やっぱりだっこしないと収まらないのでは大変なので。
それが正解かどうかわかんないんですけど。
私はいくらでもだっこできるんですけど。
女性だと、やっぱり15キロぐらいあると重いので、毎回だっこってなっちゃうと、もうそれだけで負担になっちゃうので、一旦やめようと。
るり:たしかに。
小学生になってだっこはできないですもんね。
誰にしてもらうの?ってなっちゃいますもん。
野口:そうですよね。
自分で気持ちを整理できる成長段階へ
野口:他にも、自閉症の子とかだと、遊んでると楽しくなっちゃって、切り替えられない。
要は、公園で「帰るよ」って言っても、「もう帰りたくない」って崩れる子も、癇癪って言えば癇癪ですね。
そういう子は自分では切り替えられないので、車の中で泣きつづける。
そうすると、疲れて寝ちゃう。
るり:でも、それも1つ、切り替えですよね。
寝て落ち着くっていう。
野口:うん、そうなんですよね。
場面を変えると収まるっていう、その子の場合はですけども。
でも、その子も、気づいたら、「もっと遊びたい」って泣くのは収まりましたね。
今小学校1年生ですけど。
るり:私は記事の中でどうしても、「こういうツールを試してみると、変わるかもしれないですよ」は紹介することができるけれど、それとは別に障害があろうとなかろうと、人間って成長するじゃないですか。
その時期とうまくこ噛み合わないと、結局どれだけ頑張っても、その子の成長が追いつくまでは癇癪が収まらないってこともありえるのかなと。
野口:ああ、そうですね、それはあると思いますね。
やっぱ一定数、どれだけ親御さんが頑張っても、癇癪が続いてしまう子はいると思うんですよね。
今の時代の発達の傾向の仮説
野口:でも最近、エコルドの近くのショッピングモールでもあんまり泣いてる子って見ないな。昔は、いっぱいいたような気がするんですけど。
るり:地べたでね、ぎゃーみたいなやつですよね。
お母さんが横でめっちゃ怒ってて。
野口:うん、「やめなさい、もう置いてくよ」とかって、多少はありますけど。
でもあんま見ないな、減ってるんですかね。
るり:でも勝手な憶測ですけど、増えてそうじゃないですか?今の時代。
やっぱスマホとかで親子の時間が減ってて、愛着形成にちょっと難があったりとかする可能性もあるのかなって、私は勝手に思ってるんです。
統計的な何かを見たわけじゃないけど、でも、教育の場面であったりとかで、集中力のない子が増えたとか、そういうのは言われてるので、どうなのかなと。
野口:なるほど、そういう観点もありますね。
るり:それも今度記事で書きましょう(笑)
集中力とか、注意力が落ちていることの相関にスマホがあるのかどうかは、わからないところもあるんですけど。
野口:でも、今、ほとんどの子どもが飽きたとか、泣いたとか、そういう対応を収めるツールとして、もうほとんど人が使ってると思います。
るり:そうですよね。とりあえずYouTube見せとこうってなります(笑)
野口:そうそう(笑)
だから、「スマホを見せることが問題です」っていうのはどうなのかなって。
るり:それが普通になっていった人間を、どうしていくかだと思うんですよ。
この社会がどう受け入れていくか。
野口:うん、スマホを使うことはもう防げないと思うんですよね。
やめましょうって言っても、やめられないと思いますし、もう自然の流れでどうしようもないと思いますね。
でも、それが注意散漫になるのかな?
ぱっと考えたらなりそうな気がしますけど、ほんとに因果関係あるかってわかんないですね。
るり:ショート動画が増えたっていうのが、要因に挙げられてますね。
簡単にドーパミンが出るからやめられないみたいなのは、書籍(「スマホ脳」)で読んだこともありますけど。
ちょっと癇癪から離れるんですけど。
最近発達障害の子が増えたって言われてると思うんですけど、野口さんはどう思いますか?(第4回へ続く)
まとめ
第3回では、泣いても自分の希望が通らない経験や、切り替えツールの獲得などを通して学びつつ、成長のタイミングを迎えることで、癇癪が収まるのではないか、と考えてみました。
第4回では、癇癪から少し離れて、通常の学校の支援級への進学か、支援学校への進学か、という視点から考えを深めていきます。
ぜひ、次回もお楽しみに!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
エコルド川口教室です

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