食べられないものがあってもいい!~学校や幼稚園への偏食の伝え方~
こんにちは。ガイドヘルパーとして働いております、るりと申します。
ダウン症で重度知的障害を持つ弟がいる、姉でもあります。
今回のテーマは、前回に引き続き「偏食」です。
前回は、具体的なアプローチをご紹介しました。
それでも、お子さまが食べられるものが少ないことが、心配な保護者さんもいらっしゃると思います。
「わがままなら、いつか直さないといけないんじゃないか」
「栄養的な偏りが心配」
「幼稚園・保育園、小学校にどうやって伝えたらいいんだろう」
そんな不安について、「食べられないものがあってもいいのでは?」という視点から、園や学校の先生に伝える方法についてもご紹介いたします。
*本記事では、障害を社会モデルで捉え、社会側にある障害に自覚的になり、改善するように働きかけたいという願いを込めて、あえて「障害」と表記します。
目次
偏食でも心配しすぎなくてもOK!
思わず心配になって、お子さまへの声掛けや工夫に力が入る保護者様もいらっしゃると思います。
しかし、「本当に偏食って今すぐ治さないといけないの?」と考えてみたことはありますか?
「今すぐ治さないと」と考えると焦ってしまいますが、実は偏食は成長とともに変わることも多いんです。
保護者様の中にも、好き嫌いが小学校にあがるころには、少し減った記憶がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
偏食であったとしても、徐々に食べられるものが増えることが多くあります。
また、「栄養バランスが心配」という方もいらっしゃると思います。
栄養は一週間単位でバランスを考えても大丈夫です。
一日ですべてを取るのは難しくとも、牛乳・卵・米・バナナなど、栄養価が高いものを優先的に摂取できているとより安心ですね。
それでも不安…そんなあなたへ
それでも、
「本当にいつか食べられるの…?」
「今食べられるものだけじゃ、栄養バランスが悪いと思うんだけど…」
と思ってしまうのも親心ですよね。
そんな時は、一つはSNSなどで先輩ママ・パパの記録を見てみるのも良いかもしれません。
偏食のお子様は意外とたくさんいらっしゃいます。
そんな方々も、偏食が減っていったり、あるいは偏食のままでも十分に元気に過ごしている方もいらっしゃいます。
また、それぞれのご家庭での工夫がたくさんあり、参考になるかもしれません。
さらに、もっと実用的な方法としては、小児科医などと相談してサプリや強化食品で栄養バランスを補うことも可能です。
専門家の意見を仰ぎながら、お子さまのペースや特性に合わせた食事ができると、安心につながるのではないでしょうか?
園や学校へのサポートの求め方
家にいるときは、保護者様がサポートできても、これから幼稚園・保育園や、小学校と、親元を離れて食事をする場面は増えていきます。
そんな時に大切となってくるのは、園や学校のサポートです。
保護者様から先生への連絡、そして相互の連携が不可欠となってきますが、どのように伝えたらよいのでしょうか?
以下にそのポイントをまとめました。
- 具体的な食材や食感を伝える
…食べられるもの以外を食べさせられることが、次の食事への抵抗になる可能性があります。そのため、先生にも具体的な食材や調理法を共有することが大切です。例えば、表にして食材や調理法、食感のメモがあると、正確に伝えられると思います。 - わがままではなく、特性であることを理解してもらう
…わがままでの好き嫌いと、感覚的に食べられないというのには大きな差があります。先生にも、無理強いすることがないように、しっかり特性であることを伝えましょう。 - 親としての方針を伝える
…先生たちは、基本的に保護者様の意向に沿ったサポートをしたいと思っています。そのため、「新しい食材へのチャレンジは家でやる」「食べられるものだけ食べさせてほしい」「本人が興味を示したものはチャレンジさせてほしい」など、具体的な対応の希望を併せて伝えられると、先生も安心できます。また、家庭で成功した食べ方なども随時共有できると良いですね。
以上のように、園や学校とも連携して、少しでもお子さまの食べる喜びが増えていくサポートに繋がれば嬉しいです。
まとめ
大切な我が子の健康に直結する食事の課題は、保護者様にとっても大きな負担になります。
ただ、偏食=特性の一つ。
「治す」というより「付き合っていく」ものと思えると、すこし肩の荷が下りるかもしれませんね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
弊社でも、お子さまにまつわる小さなお悩みから、相談を随時承っております。
気になることがございましたら、お気軽にお申し付けください。
【参考文献】
當房浩一ら他7名,「幼児期における偏食の要因および食行動との関連の探索的研究ー熊本県の保育施設・区役所における横断調査ー」,2024, 栄養学雑誌 (82)3, 96-109
志澤美保ら他4名,「幼少期の食行動に関連する要因の研究:自閉症的傾向,感覚特性および育児環境に焦点をあてて」,2018,日本公衆衛生雑誌65(8),411-420
井上眞由美ら他7名,「自閉スペクトラム症児の学校給食における食の課題の変化の要因 –解釈学的現象学分析を用いた質的研究–」,2024,日本子ども健康科学会,子どもの健康科学26(1),29-42
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