偏食…?もっといろいろなものを食べてほしい~サポート編
こんにちは。ガイドヘルパーとして働いております、るりと申します。
ダウン症で重度知的障害を持つ弟がいる、姉でもあります。
今回のテーマは、「偏食」です。
どんなお子さまにも、好き嫌いはあるものです。
ところが、お子さまの特性やこだわりによっては、
「食べられる食材・料理が数えるほどしかない…。」
「保育園・幼稚園や、小学校の給食が食べられるか心配。」
という悩みをお持ちの保護者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本記事では偏食を持つお子さまへの具体的なサポートについてご紹介します。
*本記事では、障害を社会モデルで捉え、社会側にある障害に自覚的になり、改善するように働きかけたいという願いを込めて、あえて「障害」と表記します。
目次
食事の環境作り
まずは、食事そのもの以外で改善できるところはないでしょうか?
例えば、お子さまによっては食べる場所や物へのこだわりが、食欲に影響していることもあります。
・決まった椅子、テーブル、位置、時間に食べる
・お子さま専用の食器、ランチョンマットを使う
・視覚的にシンプルにする(テレビやスマホを消す、ワンプレートにする、一品だけ出す)
このような工夫を食事の場面で少しずつ取り入れてみると、意外と食べられるようになることもあります。
料理に参加する
食べる前に、料理に参加してもらうというのも、お子さまの「食べようかな?」というモチベーションに繋がることがあります。
・混ぜる、ちぎる、盛り付けるなどの簡単な工程を一緒にやってみる
・買い物に一緒に行って、興味のある食材を探してみる
・食材の名前をおぼえてみる
・農業体験などで収穫を楽しんでみる
自分の食べているものが何かわからないがゆえの、食わず嫌いもあるようです。
様々な食材を見て、触れてみることで、食べることへのハードルが下がる可能性もあります。
ステップアップで「食べられる」へ近づく
感覚過敏が偏食の原因になっている場合もあります。
そんなお子さまには
「見る→触る→嗅ぐ→口元に近づける→舐める→食べる」
というステップで徐々に「食べる」に近づく方法がおすすめです。
一つ成功するごとに、思いっきり褒めてあげてください。
この褒められたという成功体験が、お子さまの次への自信へと繋がります。
食材のアレンジ
すでに好きな食材や料理がある場合は、そこに他の食材や料理を近づけていく方法はいかがでしょうか?
・サクサク、トロトロ、さらっと、などの食感に近づけた調理方法
・星やハートなどの形にする
・食べられる料理の中に混ぜる
・調味料やソースで好きなのを選んでもらう
これらの方法で少しずつ食べられるものを増やすこともできます。
食べなくてもOK!
これまでは食べられるようになる方法を具体的に紹介しました。
ただ、どうしても食べられない、食べるものが増えないお子さまもいらっしゃると思います。
そんなときでも、絶対に無理強いだけはしないように注意が必要です。
食事を強制されている感覚が積み重なると、食自体への苦手意識が増えてしまうからです。
次回予告
次回の記事では、
「強制しないとはいっても、食べてほしい…。」
「やっぱり栄養バランスが心配。」
「給食でも食べなくてOKって先生に理解してもらえる?」
という保護者様にむけて、食べられなくてもOKな理由と、就学後に支援者に伝える方法についてご紹介いたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
当教室でも、お子さまにまつわる小さなお悩みから、ご相談を随時承っております。
気になることがございましたら、お気軽にお申し付けください。
【参考文献】
● 當房浩一ら他7名,「幼児期における偏食の要因および食行動との関連の探索的研究ー熊本県の保育施設・区役所における横断調査ー」,2024, 栄養学雑誌 (82)3, 96-109
● 志澤美保ら他4名,「幼少期の食行動に関連する要因の研究:自閉症的傾向,感覚特性および育児環境に焦点をあてて」,2018,日本公衆衛生雑誌65(8),411-420